Eternita
日々の愚痴・妄想小話駄々漏れの場所。 内容はさしてないです....
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「戦国BASARA」
真田主従、というべきか。隠れ幸佐というべきか。。。。
幸村が風邪をこじらせてるだけの話です。
真田主従、というべきか。隠れ幸佐というべきか。。。。
幸村が風邪をこじらせてるだけの話です。
上弦の月に夜空にただひとり君臨していた。
従える星もなく、鳥も虫も鳴くのを一切拒んでしまったような宵の中頃。
夜の闇の中、静かに、こっそりと、奥の襖をあける音がした。
「だーんなっ」
侍女も小姓もいなくなった部屋を密かに抜け出そうとしていた幸村は、聞こえるはずのない、むしろ聞こえてはいけない間延びした声にびくり、と平時より遥かに熱い体を震わせた。
「さ、・・すっ」
「旦那ぁ、何してるのそんな格好で。」
驚きのためか熱のためか、幸村はうまく呂律が回っていない。
そんな主の体調異常をきれいさっぱり無視した佐助は、あいかわらずにこにこと笑顔で、振り返らない主の背中に話しかけていた。
「い、や・・ちょっとのどが渇いて、取りに・・行こうとしてだな。」
「ふーん、んじゃ俺たちか侍女さんでも呼べば良かったんじゃない?」
「うっ」
「ねぇ?」
「し、しかし佐助は、居なかったではないか。」
「じゃあ、他の人に頼めばいいでしょう。あんたが一人なんてあり得ないんだし。」
呼べば誰だかが来てくれるよ、と。
ゆったりとした口調とは裏腹に、幸村の背後には明らかに怒りのオーラがまとわりついている。
いつもなら所構わず叱り飛ばし、歯に衣着せず苦言を呈す佐助が。
帰って不気味なほど穏やかな声音で、さっそく才蔵達との約束を破ろうとした幸村を怒りもせず、布団にも戻さずにいる。
幸村はだんだん恐くなってきた、と同時にいまだに自分の前に移動しようとしない佐助に、なりふり構わず謝り倒したくなってきた。
「さ、佐助。」
「何?」
間髪入れない返事に、じわじわと嫌な予感が広がってゆく。
「あの、な。約束を、破るつもりはなかったのだ!ただ、そういえば・・誰もいないなっと。」
「それで、これ幸いと抜け出そうと?」
「だからわざとではっ、」
意気込みすぎて思わず咳が出た。
次から次へと、止める間もなく溢れ出る息に幸村は前屈みに折り曲げた。
じわりと息苦しさに涙が浮かんだ時、ぽんぽんと背中を叩かれた。
「さっ、・・すけ」
「あーはいはい、いいよ無理して喋んなくても。」
いつの間にか消えていた険悪さの代わりに、ようやくいつもの呆れ口調に戻った忍は、そのまま幸村を部屋の中に戻した。
「ほら、早く布団入って。も~、だから言ったでしょーが。」
「すまぬ。」
「しゃべんなくていいってば。・・ちゃんと上まで布団上げて。」
言われるまま、一人用にしてはでかすぎる厚めの布団にきっちりとおさまった幸村に、佐助は静かに嘆息した。
「・・・すまぬ。」
もう一度謝った幸村に、佐助はもう何も言わなかった。
「才蔵達にも嘘を、吐いてしまった。寝ていろと、言われたのに、それを。」
「もういいよ。あんたが部屋で大人しくしててくれるなんて、誰も思ってないだろうし。」
何げに酷い言葉だがむしろ幸村はホッとした。
佐助の怒りは完全に解けていた。
「まったくさ、旦那が風邪なんて。出張先で聞いた時はそりゃもうよわったよ。」
「な、ぜだ?」
「あんたが病気だなんて、こりゃ槍でも降ってくるなぁって。」
そしたら俺様、お仕事できなくなっちゃうじゃない。
ひどく砕けた口調でそう言い、佐助は笑った。
「すまぬ。」
「本当だよ。旦那さ、みんなあんたのこと心配してるんだからね。
大将も忍隊の連中もこの家の人達もさ。そういうの、もっと考えて行動してよ。」
幼い子どもに言い含めるように、淡く小さな声でそんな事をいう。
「佐助も、」
「そ、俺様も。あんた安静にしなきゃいけない時に限って動きたがるし。
体調見て身の回りの世話して時間つぶしの相手してって、さすがの俺でも疲れるじゃん。」
「・・・・そうか、そうだな。俺は、お前に世話ばかりかけている、か。」
「ん、どしたの旦那。やけにしおらしいね。」
「たまにはな。」
口の端を僅かに上げ、覗き込んでくる佐助の目を見上げた。
そして、幸村は静かに目を閉じた。
静かに更けていく夜の気配に覆われて、少しだけほかと時の流れの違う部屋で、ひさかたぶりの佐助の存在を感じながら眠りについた。
決して心配とは言わずぶ、あれこれと理由をつける己が忍の心を、
夢路へとつく、その刹那の間だけは理解することができた。
従える星もなく、鳥も虫も鳴くのを一切拒んでしまったような宵の中頃。
夜の闇の中、静かに、こっそりと、奥の襖をあける音がした。
「だーんなっ」
侍女も小姓もいなくなった部屋を密かに抜け出そうとしていた幸村は、聞こえるはずのない、むしろ聞こえてはいけない間延びした声にびくり、と平時より遥かに熱い体を震わせた。
「さ、・・すっ」
「旦那ぁ、何してるのそんな格好で。」
驚きのためか熱のためか、幸村はうまく呂律が回っていない。
そんな主の体調異常をきれいさっぱり無視した佐助は、あいかわらずにこにこと笑顔で、振り返らない主の背中に話しかけていた。
「い、や・・ちょっとのどが渇いて、取りに・・行こうとしてだな。」
「ふーん、んじゃ俺たちか侍女さんでも呼べば良かったんじゃない?」
「うっ」
「ねぇ?」
「し、しかし佐助は、居なかったではないか。」
「じゃあ、他の人に頼めばいいでしょう。あんたが一人なんてあり得ないんだし。」
呼べば誰だかが来てくれるよ、と。
ゆったりとした口調とは裏腹に、幸村の背後には明らかに怒りのオーラがまとわりついている。
いつもなら所構わず叱り飛ばし、歯に衣着せず苦言を呈す佐助が。
帰って不気味なほど穏やかな声音で、さっそく才蔵達との約束を破ろうとした幸村を怒りもせず、布団にも戻さずにいる。
幸村はだんだん恐くなってきた、と同時にいまだに自分の前に移動しようとしない佐助に、なりふり構わず謝り倒したくなってきた。
「さ、佐助。」
「何?」
間髪入れない返事に、じわじわと嫌な予感が広がってゆく。
「あの、な。約束を、破るつもりはなかったのだ!ただ、そういえば・・誰もいないなっと。」
「それで、これ幸いと抜け出そうと?」
「だからわざとではっ、」
意気込みすぎて思わず咳が出た。
次から次へと、止める間もなく溢れ出る息に幸村は前屈みに折り曲げた。
じわりと息苦しさに涙が浮かんだ時、ぽんぽんと背中を叩かれた。
「さっ、・・すけ」
「あーはいはい、いいよ無理して喋んなくても。」
いつの間にか消えていた険悪さの代わりに、ようやくいつもの呆れ口調に戻った忍は、そのまま幸村を部屋の中に戻した。
「ほら、早く布団入って。も~、だから言ったでしょーが。」
「すまぬ。」
「しゃべんなくていいってば。・・ちゃんと上まで布団上げて。」
言われるまま、一人用にしてはでかすぎる厚めの布団にきっちりとおさまった幸村に、佐助は静かに嘆息した。
「・・・すまぬ。」
もう一度謝った幸村に、佐助はもう何も言わなかった。
「才蔵達にも嘘を、吐いてしまった。寝ていろと、言われたのに、それを。」
「もういいよ。あんたが部屋で大人しくしててくれるなんて、誰も思ってないだろうし。」
何げに酷い言葉だがむしろ幸村はホッとした。
佐助の怒りは完全に解けていた。
「まったくさ、旦那が風邪なんて。出張先で聞いた時はそりゃもうよわったよ。」
「な、ぜだ?」
「あんたが病気だなんて、こりゃ槍でも降ってくるなぁって。」
そしたら俺様、お仕事できなくなっちゃうじゃない。
ひどく砕けた口調でそう言い、佐助は笑った。
「すまぬ。」
「本当だよ。旦那さ、みんなあんたのこと心配してるんだからね。
大将も忍隊の連中もこの家の人達もさ。そういうの、もっと考えて行動してよ。」
幼い子どもに言い含めるように、淡く小さな声でそんな事をいう。
「佐助も、」
「そ、俺様も。あんた安静にしなきゃいけない時に限って動きたがるし。
体調見て身の回りの世話して時間つぶしの相手してって、さすがの俺でも疲れるじゃん。」
「・・・・そうか、そうだな。俺は、お前に世話ばかりかけている、か。」
「ん、どしたの旦那。やけにしおらしいね。」
「たまにはな。」
口の端を僅かに上げ、覗き込んでくる佐助の目を見上げた。
そして、幸村は静かに目を閉じた。
静かに更けていく夜の気配に覆われて、少しだけほかと時の流れの違う部屋で、ひさかたぶりの佐助の存在を感じながら眠りについた。
決して心配とは言わずぶ、あれこれと理由をつける己が忍の心を、
夢路へとつく、その刹那の間だけは理解することができた。
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