Eternita
日々の愚痴・妄想小話駄々漏れの場所。 内容はさしてないです....
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彩雲国物語 双花(楸瑛→絳攸)+劉輝
現代学園パラレル
現代学園パラレル
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「信じられんっ!!」
「まあまあ、・・ちょっとした手違いじゃないか。」
「それですむ問題かっ!」
だいたい貴様はなんでさっきからそんなに嬉しそうなんだっ!!
午前7:44。
現在進行形で雨に降られ続けている校門前で、それは盛大に叫びを上げた青年を、楸瑛は楽しそうに見やった。
もちろん、本人は至って真剣かつ怒り心頭しているので込み上げてくる笑いはどうにか口の端だけに止めている。
「仕方ないじゃないか、私達は鍵を持っていないんだよ。
今此処で騒ぐだけ無駄じゃないか。」
「ぐっ・・・、だが、」
「とりあえずは、電話だね。」
そう言ってケータイ(うちの学校は授業の妨げにならないなら原則何でも持ち込み可だ、親友は「寛容すぎる!」といって憤慨していたが。)を取り出した。
「睨まないでおくれ、」
「別に睨んでなどいない・・・・」
「そう?」
かける場所はもちろん彩雲学園。
この場合学園営業本部につながるのか職員室に繋がるのかまでは知らないが、まさかこの時間で誰もいないということはないだろう。
「・・・・・・・」
「・・・どうだ、」
「・・・・・・・・・・・かからないね。」
うーん、どうしようか。
どうするもこうするもあるかっ!意地でも通ってやる!
落ち着こうね、絳攸。靴を脱ぐまでにびしょ濡れ泥だらけになるよ。
じゃあ、どうするんだ!今日は模試なんだぞっ。遅れたら・・・
・・・絳攸。君はこんな時まで模試かい。
当たり前だっ、ただでさえこの雨で着くのが遅れたんだぞ!
その上こんな阿呆らしい事で俺の勉強時間は削らせんっ!!!
そこでふと、何かが引っかかった。
実はさきほどからあり得ないと意識的に考えないようにしてきた事が、まさにそれしか該当項目がなくなったと言うべきか。
絳攸に気づかれないよう、何気ない仕草でケータイのボタンを押した。
「・・・・・ねぇ、絳攸。」
「なんだっ!!!」
「君。今日の予報、見たかい?」
「よほう?」
絳攸がここに来てようやく落ち着きを取り戻し(とはいえ、依然として『冷静沈着生徒会の最後の砦』と言われる普段とはかけ離れている。)、可愛らしく小首を傾げた。
「天気予報。」
「・・そんなことは分かっている。」
「見た?」
「・・・・・見ていない、」
今日寝坊したんだ、・・・・知ってるだろう。
と、少しばつが悪そうに膨れっ面でしゃべる彼に、あやうくふらりとつられかけた。
が・・・(絳攸に勝るとも劣らないと自負する)理性でどうにか押さえ込む。
(危なかった、)
思わずこの生暖かい空の下、冷や汗をかきかけた。
それでも意地か誇りか、みっともない醜態だけはさらさない。
「そう。実は、私も朝少し忙しくてね。見てこなかった。」
言ったと同時に目的の画面に行き当たった。
思った通りというか、
・・・何とも虚しい気持ちが込みあげてくるが、そこは絳攸の手前顔には出さない。
そこでようやく完全に冷静さを取り戻した絳攸の頭が正常な働きをしだしたらしい。
心底嫌そうな顔でこちらを見上げてくる。
「・・・まさか、」
「うーん、その『まさか』みたいだよ。」
「信じられん・・・・、」
本日二回目の科白にはすでにさきほどまでの覇気は全く含まれていなかった。
げんなりとした様子で絳攸は肩を落とす。
「それにしても、どうして誰もでなかったんだろうね。」
あまりの落胆ぶりに彼の興味を他に持っていこうとして発した言葉だったが、確かに変だ。
その時――――――。
「楸瑛っ絳攸!」
「ん?」
「あ、会長。」
振り返ると、自分達の上司兼後輩が手を振っていた。
「なっ、何故おまえは中に入ってるんだ!」
しかも、絳攸が門をよじ登ってでも入ろうとしていた校門の内側から。
「私は、昨日此処に泊まったのだっ!!」
雨足が強くなってきて聞こえづらかったのか、会長が大声で返答してくる。
「「はあ?」」
予想しなかった答えに思わず声がハモってしまった。
すると驚かせた本人はこのどしゃ降りの中、傘も差さずにこちらに近寄ってくる。
そして、なんなく立ち往生の原因を通らせてくれた。
「なにしてるんです、ほら早く入ってください。」
「うん、すまない楸瑛。」
「それより泊まったってどういうことだ?」
「?泊まったのだが?」
「学校内にか!?」
「ちっ、違うぞ!あそこにだ!」
「ああ、そういうことですか。」
指さしたのは、学園内にありながら異常な広さと豪華さを誇る学園寮棟。
「それより、二人ともなぜ登校してきたのだ?用事か?」
「・・・・・・・・・」
「あーまあそんなところです。」
言いたくないオーラを全面に出している絳攸に苦笑しながら、でもやはり恥ずかしいことではある。
「ふむ、そうなのか。」
認めてはいなくても、とりあえず納得してくれたので良しとする。
相変わらず癇癪を起こしている天を見上げた。
「明日も降るかな、」
「・・・・楸瑛。」
「はは、ごめんごめん。」
「大丈夫なのだ、夕方には上がるらしいぞ!」
「そうですか、じゃあそれまでおじゃまさせて貰って良いですか?」
「ああっ!いらっしゃいだな!」
「・・なんでお前ら、そんなに元気なんだ。」
「今でこれじゃあ、9月は大変だね。」
「うっ、五月蠅い!!」
どうやらショックから立ち直ったらしい。
傘の水を落としながら、もう一度だけ後ろを振り返る。
(暴風雨、ねぇ。風はないと思うのだけれど、)
「信じられんっ!!」
「まあまあ、・・ちょっとした手違いじゃないか。」
「それですむ問題かっ!」
だいたい貴様はなんでさっきからそんなに嬉しそうなんだっ!!
午前7:44。
現在進行形で雨に降られ続けている校門前で、それは盛大に叫びを上げた青年を、楸瑛は楽しそうに見やった。
もちろん、本人は至って真剣かつ怒り心頭しているので込み上げてくる笑いはどうにか口の端だけに止めている。
「仕方ないじゃないか、私達は鍵を持っていないんだよ。
今此処で騒ぐだけ無駄じゃないか。」
「ぐっ・・・、だが、」
「とりあえずは、電話だね。」
そう言ってケータイ(うちの学校は授業の妨げにならないなら原則何でも持ち込み可だ、親友は「寛容すぎる!」といって憤慨していたが。)を取り出した。
「睨まないでおくれ、」
「別に睨んでなどいない・・・・」
「そう?」
かける場所はもちろん彩雲学園。
この場合学園営業本部につながるのか職員室に繋がるのかまでは知らないが、まさかこの時間で誰もいないということはないだろう。
「・・・・・・・」
「・・・どうだ、」
「・・・・・・・・・・・かからないね。」
うーん、どうしようか。
どうするもこうするもあるかっ!意地でも通ってやる!
落ち着こうね、絳攸。靴を脱ぐまでにびしょ濡れ泥だらけになるよ。
じゃあ、どうするんだ!今日は模試なんだぞっ。遅れたら・・・
・・・絳攸。君はこんな時まで模試かい。
当たり前だっ、ただでさえこの雨で着くのが遅れたんだぞ!
その上こんな阿呆らしい事で俺の勉強時間は削らせんっ!!!
そこでふと、何かが引っかかった。
実はさきほどからあり得ないと意識的に考えないようにしてきた事が、まさにそれしか該当項目がなくなったと言うべきか。
絳攸に気づかれないよう、何気ない仕草でケータイのボタンを押した。
「・・・・・ねぇ、絳攸。」
「なんだっ!!!」
「君。今日の予報、見たかい?」
「よほう?」
絳攸がここに来てようやく落ち着きを取り戻し(とはいえ、依然として『冷静沈着生徒会の最後の砦』と言われる普段とはかけ離れている。)、可愛らしく小首を傾げた。
「天気予報。」
「・・そんなことは分かっている。」
「見た?」
「・・・・・見ていない、」
今日寝坊したんだ、・・・・知ってるだろう。
と、少しばつが悪そうに膨れっ面でしゃべる彼に、あやうくふらりとつられかけた。
が・・・(絳攸に勝るとも劣らないと自負する)理性でどうにか押さえ込む。
(危なかった、)
思わずこの生暖かい空の下、冷や汗をかきかけた。
それでも意地か誇りか、みっともない醜態だけはさらさない。
「そう。実は、私も朝少し忙しくてね。見てこなかった。」
言ったと同時に目的の画面に行き当たった。
思った通りというか、
・・・何とも虚しい気持ちが込みあげてくるが、そこは絳攸の手前顔には出さない。
そこでようやく完全に冷静さを取り戻した絳攸の頭が正常な働きをしだしたらしい。
心底嫌そうな顔でこちらを見上げてくる。
「・・・まさか、」
「うーん、その『まさか』みたいだよ。」
「信じられん・・・・、」
本日二回目の科白にはすでにさきほどまでの覇気は全く含まれていなかった。
げんなりとした様子で絳攸は肩を落とす。
「それにしても、どうして誰もでなかったんだろうね。」
あまりの落胆ぶりに彼の興味を他に持っていこうとして発した言葉だったが、確かに変だ。
その時――――――。
「楸瑛っ絳攸!」
「ん?」
「あ、会長。」
振り返ると、自分達の上司兼後輩が手を振っていた。
「なっ、何故おまえは中に入ってるんだ!」
しかも、絳攸が門をよじ登ってでも入ろうとしていた校門の内側から。
「私は、昨日此処に泊まったのだっ!!」
雨足が強くなってきて聞こえづらかったのか、会長が大声で返答してくる。
「「はあ?」」
予想しなかった答えに思わず声がハモってしまった。
すると驚かせた本人はこのどしゃ降りの中、傘も差さずにこちらに近寄ってくる。
そして、なんなく立ち往生の原因を通らせてくれた。
「なにしてるんです、ほら早く入ってください。」
「うん、すまない楸瑛。」
「それより泊まったってどういうことだ?」
「?泊まったのだが?」
「学校内にか!?」
「ちっ、違うぞ!あそこにだ!」
「ああ、そういうことですか。」
指さしたのは、学園内にありながら異常な広さと豪華さを誇る学園寮棟。
「それより、二人ともなぜ登校してきたのだ?用事か?」
「・・・・・・・・・」
「あーまあそんなところです。」
言いたくないオーラを全面に出している絳攸に苦笑しながら、でもやはり恥ずかしいことではある。
「ふむ、そうなのか。」
認めてはいなくても、とりあえず納得してくれたので良しとする。
相変わらず癇癪を起こしている天を見上げた。
「明日も降るかな、」
「・・・・楸瑛。」
「はは、ごめんごめん。」
「大丈夫なのだ、夕方には上がるらしいぞ!」
「そうですか、じゃあそれまでおじゃまさせて貰って良いですか?」
「ああっ!いらっしゃいだな!」
「・・なんでお前ら、そんなに元気なんだ。」
「今でこれじゃあ、9月は大変だね。」
「うっ、五月蠅い!!」
どうやらショックから立ち直ったらしい。
傘の水を落としながら、もう一度だけ後ろを振り返る。
(暴風雨、ねぇ。風はないと思うのだけれど、)
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