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Eternita

日々の愚痴・妄想小話駄々漏れの場所。 内容はさしてないです....

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双花、微妙に楸瑛→←絳攸っぽい。

お待たせしました・・
一年以上、正確には、1年と3ヶ月ぶりの続き物。

「善き羊飼い」の続きの続きですよ~っ、忘れてたわけではないです、はいっ!(本当にっ
書きかけ放置状態で気づけば、長い年月が・・・・;;
すでに忘れられてるかと思いますが、・・・・。orz

続き物といえば、楸瑛小さくなるネタもそろそろやばいですね。




「絳攸、そんなに用心しなくても大丈夫だよ。」 
「なんでだっ、もしかしたらまだ、・ ・ ・ 」
 「大丈夫だって。」 

バイト先のコンビニの前で恐る恐る中を覗き込む絳攸に、楸瑛は苦笑気味に念を押す。
どうやら一昨日の出来事は、彼にとってかなりの衝撃だったらしい。
それを言われれば、自分も行為としては同じ事をしたのだが、
幸か不幸か、あの夜睨みつけられて説教だけで許してもらえた。 

(私としては、もう少し警戒心を持って欲しいのだけど、)

 まぁ十中八九無理だろう。
絳攸は、諸事情から女性を苦手としていて、自分からはほとんど近づかないでいるが、別に男が好きなわけでもない。
というより、恋愛自体に興味がないのだ。
彼に本人の容姿の話をしたところで、鼻で嗤われるか、良くて怒鳴られるだけだろう。 

「おい、楸瑛!」

 とりとめもなくそんな事を考えていると、絳攸の声で現実に戻された。

 「 ・ ・ ・ うん?なんだい。」
 「いや、・ ・ ・ ・ ・ 急に、黙り込むなよ。」
 「え?ああ、うん。」

 少し、様子がおかしい。
問い掛けようとして、何故か言葉は出てこなかった。
かわりに、

 「とにかく、入ってみれば分かるよ。」 

言って、まだ逡巡している絳攸を掴んで店内に入った。


 「いらっしゃいませ。」 

聞こえてきた店員の声に取り敢えずは安堵した。
けれど、まだまだ油断は禁物で、忙しなく辺りを見渡した。

 「大丈夫だよ、絳攸。」 

くすくすと俺の気持ちも考えずに無遠慮に笑う男に肘鉄を食わす。
楸瑛は癪に障る笑顔を引っ込めて、本日、否、一昨日から何度目になるか分からない科白を言った。

 「だからっ、何でそんな事が分かるんだっ!」

 そして、これもまた何度となく俺が言った言葉だ。
こいつはそのたびに曖昧に茶を濁して真相を教えてくれない。
 一昨日俺の話を聞いた楸瑛はすぐに勤めていたコンビニに連絡を入れた。
まさか、楸瑛だから話した俺の大恥を目の前でばらされるとは思っていなかったから、
大急ぎでこいつから携帯を取り上げようとした。
その時返された言葉に、俺の頭はあの日三回目の強制停止をさせられた。

 今なら納得できないまでも仕方ない、と思える。
先輩は楸瑛が手を下す前に、別の誰か(楸瑛は間違いなく黎深様だと言っていた)によって解雇され、おそらく脅されて引っ越していったのだろう。

(呆れられた、・・かもしれない、)

けれど、内心はまったく別で。
泣きたくなるほど嬉しかった、たとえ惰性だとしても自分の周囲を気にかけてくれている、と。
そう考えただけで歓喜に心が締め付けられた。
大事にしてもらっている、とわかっていてもやはり態度で示されたい。

確固で、間違えようのない言葉や行動で表現してもらいたい。
でなければ、安心できない。

我ながら、やっかいで狡賢い性格だと思う。

ちらりと、楸瑛を見た。
悠々と俺の半歩前を歩く、小さな店内では目立ちすぎる長身の男。
今までこいつの予想が外れたことはない。
案の定、先輩はどこにもいなかった。
・・・・もちろん、だからといって油断は出来ないが。

「どう?」

「うっ、・・・・・・。」

俺の視線に気づいていながら、ゆったりと笑いかけてくるやつを引っぱたいてやりたい。
全部何もかもお見通し、な顔をしやがって。
腹が立つ、とてつもなく。
結局いつもこいつの思い通りで、それに何故か逆らえない自分にも・・・。

「でも、まだこの界隈に居るかも知れないだろっ。」

「大丈夫だよ。」

「だから、」

なんでそんなはっきりと言いきれるっ!?
特に、こいつが何かしたわけでもないだろうにっ。
昨日の今日だ。
引っ越すにしてもそんなすぐにはどうにもならないだろう。

「彼ね、大学やめて。故郷に帰ったらしいから、昨日すぐ。」

「え?」

にっこりと、やけに楽しそうに語る言葉に呆然とする。
はっ、早すぎるだろ・・・・

「う、そだろ、それ・・」

「いやだなぁ、私は意味のない嘘は吐かないよ。」

意味のある嘘なら良いのかっ!
楸瑛を睨み上げた。
ふふふ、と擬声語が聞こえそうなほど余裕の笑みを見せる顔は、俺の視線に動じることもなく、すっと進行方向を変えた。

「じゃあ、不在も分かったことだし出ようか?」

「・・・・・くそ。」

小さい舌打ちをめざとく聞きつけ、けれど何も言わず楸瑛は扉を開けた。

途端に、体中が寒気に晒される。
よく晴れた日だというのに、やはり外は寒かった。
はぁっ、と吐いた息が白い。
今はもう、並んで歩く楸瑛を意識する。
言葉は、意外なほどすんなり出てきた。

「ありがとう、」

いてくれて良かった、とは言わなかった。
ばっとこちらを向いた楸瑛の目は珍しく真ん丸で。
間抜けな面ににやりと笑う。
その途端、苦笑に転じる表情に、少しだけのはずの嬉しさを噛み締めた。

明日も、どうか君の隣に・・
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